はじめに
ADLINK社は、インテリジェントミドルウェアを使用してデバイスを監視および制御する SEMA®(スマート組み込み管理エージェント)を用意しています。
SEMA®は、Linux および Windows オペレーティングシステム、およびさまざまなHWプラットフォームで使用できます。
今回は Linux に SEMA Utility をインストールして、ボードの情報を取得してみたいと思います。
参考:
<今回使用した主な製品>
-
LEC-ASL
インテル®第7世代Atom® x7000プロセッサ(旧コード名:Amston Lake)搭載の SMARCモジュールです
-
I-Pi SMARC Plus
M.2 拡張付き SMARC 2.1リファレンスキャリアボードです
- THS-sALN
LEC-ASL のヒートシンクです
(他に LEC-ASL のヒートスプレッダの HTS-sALN もあります)
その他に今回用意するもの:
- HDMI ケーブル・モニター
- USB マウス・キーボード
- LAN ケーブル(インターネットへの接続に使用)
1.事前準備:Linux 環境の構築
下記 URL の手順を参考にして、Linux 環境を構築しておきます。
なお、今回は kernel version 5.15 の Ubunutu で動作確認しました。
参考:
2.SEMA Utility のインストール
1. 次のコマンドを順に実行して、ビルドに不可欠なパッケージをインストールし、SEMAソースコードをダウンロードしてコンパイルします。下記ではダウンロードで、sema-ec のタグ v4.3.5 を指定しています。
sudo apt install build-essential git hexer i2c-tools
sudo apt install uuid-dev
git clone https://github.com/ADLINK/sema-linux-ec.git -b v4.3.5
cd sema-linux-ec
sudo make
sudo make install
下記のようなメッセージが表示されたら、インストールは無事完了です。
2. 完了したら、次のコマンドを入力してすべてのドライバーをロードしてください。
sudo modprobe -a adl-ec adl-ec-boardinfo adl-ec-vm adl-ec-wdt adl-ec-hwmon adl-ec-nvmem adl-ec-bklight adl-ec-i2c adl-ec-gpio adl-ec-nvmem-sec
参考:
ADLINK SEMA® GitHub EC Controller
ADLINK SEMA® GitHub How to install on Linux
3.SEMA® によるボード情報の取得
次のコマンドを実行すると、SEMA Utility の機能一覧を確認できます。
全ての機能をサポートしているわけではありませんのでご注意下さい。
sudo semautil --h
下記は、コマンド実行後の出力の中から、ボードに関するコマンドの情報を抜粋したものとなります。
次のコマンドにより、ブートした回数を確認できます。
sudo semautil /d get_value 2
今までのブート回数が36回であることが判ります。
次のコマンドにより、システムの稼働時間を確認できます。
sudo semautil /d get_value 3
単位は "分" になりますので、トータルの稼働時間は227分であることが判ります。
次のコマンドにより、CPUのスタートアップ時の温度を確認できます。
sudo semautil /d get_value 25
単位は "0.1ケルビン" になります。
摂氏に換算しますと、297.1 - 273.15 ≒ 24
よって、摂氏 24 ℃であることが判ります。
次のコマンドにより、CPUの現在の温度を確認できます。
sudo semautil /d get_value 5
単位は "0.1 ケルビン" になります。
摂氏に換算しますと、337.1 - 273.15 ≒ 64
よって、摂氏 64 ℃であることが判ります。
まとめ
今回は ボード情報を取得しましたが、他にも有益な機能がございますのでぜひお試しください。
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