1. ver.19.2_Pro から Cygwin がなくなり WSL を使用します
下記の参考コンテンツでご案内している通り、ver.19.1_Pro 以降の Quartus® Prime インストーラーには Nios® II SBT for Eclipse(以下、Nios® II SBT)用の Cygwin と Eclipse が付属しなくなりました。
参考コンテンツ:
Quartus® Prime Pro ver 19.1 で Nios® II SBT / SoC EDS を使用する際のインストール手順
更に ver.19.2_Pro や ver.19.1_Standard(Lite)以降のバージョンでは、Cygwin ではなく WSL を使用しますので WSL と Eclipse のインストールが必要になりました。 この記事では、Windows 10 環境下 の ver.19.2_Pro を元に WSL と Eclipse のインストール方法を紹介します。
Linux をご使用の方は「3. Eclipse インストール手順」の章のみを実施していただき、Nios® II Command Shell から、Nios® II SBT を起動してください。
注記:
① WSL は Windows 10 でのみ動作しますので、Windows 7 環境下の ver.19.2_Pro や ver.19.1_Standard(Lite)以降のバージョンでは Nios® II SBT を使用することができません。
② Windows 10 のバージョンが 1903 以上の場合、下記 Intel® FPGA Knowledge Base のページで公開しているパッチの適用が必要になります(Quartus® Prime ver.20.4_Pro、ver.20.1.1_Standard(Lite)以降のバージョンでは、パッチのインストールは必要ありません)。
FPGA Knowledge Base - nios2-elf-gcc.exe: error: CreateProcess: No such file or directory
2. WSL インストール手順
今回ご紹介する方法は、Nios® II Software Developer Handbook に記載されている内容を実施した結果を元に説明しています。
WSL(Ubntsu 18.04 LTS)の詳しいインストール手順は下記のコンテンツをご参照ください。
参考コンテンツ:
WSL で Preloader / U-Boot をビルドしてみる 【その 1】 環境セットアップ編
2-1. WSL(Ubuntu 18.04 LTS)をインストール
Microsoft Store にて、Ubuntu 18.04 LTS をダウンロードしてインストールします。
2-2. Ubuntu 18.04 LTS を起動
Installing, this may take a few minutes...
が表示されるのでしばらく待ちます。
^@^@Please create a default UNIX user account. The username does not need to match your Windows username.
For more information visit: https://aka.ms/wslusers
Enter new UNIX username: ユーザー名を入力します
Enter new UNIX password: パスワードを入力します
Retype new UNIX password: 再度、パスワードを入力します
のように、username と password を聞かれますので設定を行います。
注記:
Ubuntu 18.04 LTS が起動しない場合は、Windows 10 の設定を変更する必要があります。
[Windows 設定] ⇒ [アプリと機能] ⇒ [プログラムと機能] ⇒ [Windows の機能の有効化または無効化] ⇒[Windows Subsystem for Linux](または[Linux 用 Windows サブシステム])にチェックを入れて[OK]をクリックします。
詳しい設定手順は下記のコンテンツをご参照ください。
参考コンテンツ:
WSL で Preloader / U-Boot をビルドしてみる 【その1】 環境セットアップ編 ⇒「2-1. Windows 10 の WSL 機能を有効にする」
2-3. コマンドを入力してパッケージをインストール
以下にパッケージをインストールする手順を示します。
2-3-1. プロキシ設定
社内ネットワークなどでプロキシがある場合は、apt コマンドを実行する前に、次のプロキシ設定を行っておきます。
① Ubuntu 18.04 LTS のプロンプトから vi エディターで、 /etc/apt/apt.conf ファイルを編集します。
$ sudo vi /etc/apt/apt.conf
② vi エディター起動後、i をタイプすると入力モードになるので、下記のようなプロキシを追記します。
Acquire::http::proxy "http://your.proxy.address:proxy.port";
Acquire::https::proxy "https://your.proxy.address:proxy.port";
Acquire::ftp::proxy "ftp://your.proxy.address:proxy.port";
注記:
上記のプロキシ設定において、
your.proxy.address は プロキシアドレス、proxy.port は プロキシポート番号 を意味します。
③ 書き込みをして終了させるために、ESC キーを 1 回押してコマンドモードにし、:wq をタイプ入力します(vi エディターの使い方についての詳細は Google 検索で調べてみてください)。
2-3-2. パッケージのインストール
以下のコマンドを実行し、必要なパッケージをインストールします。
$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade $ sudo apt install wsl $ sudo apt install dos2unix $ sudo apt install make
上記のすべてのコマンドを実行し、各種パッケージのインストールが完了すれば WSL のインストールが完了です。
2-4. Nios® II Command Shell を起動して正しくインストールできているか確認
Windows のスタートメニューから[Intel FPGA 19.2]⇒[Nios II Command Shell]を選択して、【図 1】のように ver.19.2 の Nios® II Command Shell が起動すれば正しくインストールできています。
【図 1】 Nios® II Comannd Shell の起動
3. Eclipse インストール手順
Eclipse のインストール手順は以下のコンテンツで紹介しています。
参考コンテンツ:
Quartus® Prime Ver 19.1 で Nios® II SBT / SoC EDS を使用する際のインストール手順 ⇒「Eclipse の KDB 情報 & インストール手順」
4. Nios® II SBT の起動確認
Nios® II SBT の起動を確認します。
① Nios® II Command Shell を起動します
② eclipse-nios2.exe コマンドを実行します(【図 2】を参照)
③ Nios® II SBT が起動することを確認します
【図 2】 Nios® II SBT の起動
注記:
- 従来のように ".exe" を付けずにコマンドを実行すると、コマンドが認識されませんので、【図 2】のように "***.exe" と入力ください。下記 User Guide の Note にも記載されています。
User Guide - Nios® II Software Developer Handbook ⇒ Note
- Nios® II SBT 起動後、プロジェクト生成やビルド実行時にエラーが発生する場合があります。
その際は、以下の Knowledge Base 情報をご確認ください。
(特定の Quartus® Prime バージョンを対象に、環境変数:WSLENV の設定に関連したトラブルおよび回避策が掲載されています)
Quartus® Prime Ver 19.2_Pro 及び Quartus® Prime Ver 19.1_Standard(Lite)を使用している場合。
FPGA Knowledge Base - Error: Failed to execute: wsl ./create-this-app –no-make
Quartus® Prime Ver 21.1_Standard(Lite)を使用している場合。
FPGA Knowledge Base - Why do I see errors like wsl dos2unix create-this-app;./create-this-app --no-make or make: command not found when running Nios® II Software Build Tools for Eclipse on Windows?
以上が Windows 10 環境下での Quartus® Prime Pro ver.19.2 における WSL と Eclipse のインストール手順です。
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弊社では Nios® II に関する各種情報とまとめた「Nios® II まとめページ」をご用意しております。
本記事以外にも有用な情報が満載ですのでこちらも併せてご確認ください。
参考コンテンツ: Nios® II まとめページ