インテル® FPGA を実装する基板を作成する際、設計者はメーカーが公開しているドキュメントを参考に回路図を作成します。
ここでは、特に気をつけるポイントにしぼってご案内します。
なお インテル Quartus® Prime 開発ソフトウェア (以下、Quartus Prime) では、デバイスのさまざまな制約をもとにした配置確認もおこなえます。
資料による回路図チェックと併せて、Quartus Prime における確認もお願いします。
対象の FPGA
・ Arria® V FPGA (Arria V GZ を除く)
事前準備
回路図作成時に参考になるドキュメントをご紹介します。
ピン・コネクション・ガイドライン | 回路図レビュー・ワークシート |
ピン・コネクション・ガイドライン (Agilex™ を除く All Device) ※ Intel® Agilex™ ファミリーは こちら |
回路図レビュー・ワークシート トップページ |
Arria® V GT, GX, ST, and SX Device Family Pin Connection Guidelines | Arria® V GX, GT, SX, and ST Device Schematic Review Worksheet |
Arria V Overview (FPGA TOP)
下図は、Arria V の基板設計において、特に気をつけるピンを表しています。
※ 図の配置は実際のデバイスとは関係ありません。
各項目をクリックし、チェック・ポイントをご覧ください。
① VCC、HPS 用 VCC、トランシーバー用 VCC | ② MSEL ピン | ③ コンフィグレーション・ピン |
④ JTAG ピン | ⑤ クロック入力ピン | ⑥ その他 専用ピン |
⑦ トランシーバー・ピン | ⑧ DDR3 ピン | ⑨ HPS ピン |
⑩ 兼用ピン | ⑪ I/O ピン | ― |
① VCC、HPS 用 VCC、トランシーバー用 VCC
● データシートを参照して推奨の電源電圧を印加する |
● FPGA の近傍に測定ポイントを設ける ・不具合発生時に備えて、電源を計測できるようにしておく |
● Power & Thermal デザイン & デバッグ・ガイドライン を参考にする |
● 同一サイドの GXB (トランシーバー) をすべて未使用の場合は ・VCCR_GXB[L,R]、VCCT_GXB[L,R]、VCCL_GXB[L,R]、VCCH_GXB[L,R]、VCCA_GXB[L,R] は GND 接続可 |
● デカップリング・コンデンサー数 ・PDN ツール を参考にして見積もる ・より詳細に見積もる場合は、専用ツールを使用する <参考> |
● Active Serial (AS) モードでコンフィグレーションを行う場合 ・ VCCPGM は 3.0 V または 3.3 V |
● 電源シーケンス
|
② MSEL ピン
Arria V の MSEL ピン情報は、以下をご確認ください。
MSEL Pin Settings | プルアップ/プルダウン抵抗の挿入 (1)(2) |
Arria V |
不要 (こちらのドキュメント を参照) |
Arria V SoC via HPS |
(1) 内部に Weak Pull-Down Resistor (25kΩ) が挿入されています。
(2) コンフィグレーション・モードを切り替えるようにしたい場合は、0Ω 抵抗で VCCPGM/GND に切り替えるようにしてください。
MSEL ピンの一覧表はこちらをご覧ください。
③ コンフィグレーション・ピン
● DCLK ・ダンピング抵抗挿入を推奨 (最低限 0Ω) 10-50Ω ・AS モードの場合は、トレース長をケアすること (下記ドキュメントを参照) |
● nCONFIG、nSTATUS ・10kΩ 抵抗を介して VCCPGM へプルアップ |
● CONF_DONE ・10kΩ 抵抗を介して VCCPGM へプルアップ ・そのまま LED に接続しない - ドライブ電流不足により、FET を適用しないと点灯しない可能性がある |
● FPGA をカスケード接続している場合は nSTATUS や CONF_DONE は共通でプルアップ ・INIT_DONE は個別にプルアップ (使用している場合のみ) |
● nCE ・GND 接続 または 10kΩ 抵抗を介してプルダウン ・FPGA がカスケード接続になっているかは、この信号で判断する |
● nCEO を使用時は、10kΩ 抵抗を介して VCCPGM へプルアップ |
④ JTAG ピン
● チェック・ポイント ・TCK は 0Ω 抵抗のダンピング抵抗挿入を推奨 ‐ クロック系のトラブルで書き込みができないケースに対応可能にするため |
● ピン処理 ・TCK : 1kΩ 抵抗を介してプルダウン (未使用時も、1kΩ 抵抗を介してプルダウン) ・TDI : 1kΩ ~ 10kΩ 抵抗を介して VCCPD へプルアップ (未使用時は、1kΩ 抵抗を介してプルアップ) ・TMS : 1kΩ ~ 10kΩ 抵抗を介して VCCPD へプルアップ (未使用時は、1kΩ 抵抗を介してプルアップ) ・TDO : プルアップ/プルダウンなし (未使用時はオープン) |
● FPGA を3つ以上カスケード接続する場合は、TCK、TMS ラインにバッファーを挿入 |
⑤ クロック入力ピン
● シングルエンド・クロックを使用する場合は p チャンネルにアサイン (n チャンネルではグローバル・クロックにダイレクトに乗らないため ALTCLKCTRL バッファーを使用する場合の制限になる) |
● 差動で入力する場合は AC/DC カップリングに注意 |
⑥ その他 専用ピン
ピン名 | コメント |
RREF_TL RREF_BR |
PLL を使用する場合は 2kΩ 抵抗を介してプルダウン (抵抗の精度は ±1%) |
VREF | 専用ピンとして未使用の場合は VCCIO または GND へ接続 |
⑦ トランシーバー・ピン
● トランシーバー未使用の場合は GND 接続 ・クロック (REFCLK_*) は GND 接続 ・RX (GXB_RX_*、GXB_REFCLK_*) は GND 接続 ・TX (GXB_TX_*) はフローティング |
● AC/DC カップリング ・I/O Standard に合わせる |
⑧ DDR3 ピン
下記 Web コンテンツを参考にガイドラインに沿って確認。
・ Arria® V / Cyclone V と DDR3 の回路図確認項目 (アルティマカンパニー 技術 コンテンツより)
・ 特に間違えやすいピン
- mem_reset_n
- mem_cke
- rzq
⑨ HPS ピン
Arria V SoC ピン名 | コメント |
CLOCKSEL[1:0] | VCCIO 電圧に 4.7kΩ~10kΩ 抵抗を介してプルアップ または プルダウン |
BOOTSEL[2:0] | VCCIO 電圧に 4.7kΩ~10kΩ 抵抗を介してプルアップ または プルダウン |
HPS_nRST (双方向ピン) | VCCRSTCLK_HPS 電圧に 1kΩ ~ 10kΩ 抵抗を介してプルアップ |
SDMMC | 10kΩ 抵抗を介してプルアップ |
その他 |
128Mbit より大きい QSPI を使用する場合は、リセット付きの IC を使用する必要がある (Bootrom のソフトウエアが 3バイトモードで動作するためブートできなくなる)
[参考] CV SoC and AV Soc QSPI Boot (RocketBoards.org より) |
⑩ 兼用ピン
ピン名 | コメント |
CLKUSR |
各機能ピンとして使用せずユーザー I/O ピンとしても使用しない場合は Quartus Prime において Reserved Pin = "As output driving ground" に設定し、GND へ接続 |
DEV_OE DEV_CLRn PR_REQUEST |
各機能ピンとして使用せずユーザー I/O ピンとしても使用しない場合は GND へ接続 |
nPERST | PCIe ハード IP のリセットピンとして使用 |
⑪ I/O ピン
● 内部キャリブレーションを行う場合は、RREF_TL / RREF_BR ピンの処理 が必要となる。
Appendix : Arria V MSEL ピン 一覧表
MSEL Pin Settings (FPGA Configuration)
Device Family | Configuration Mode | Compression | Design Security | VCCPGM(V) | POR Delay | MSEL[4:0] |
Arria V (Arria V GZ を除く) |
FPP x8 | Disabled | Disabled | 1.8/2.5/3.0/3.3 | Fast | 10100 |
Standard | 11000 | |||||
Disabled | Enabled | 1.8/2.5/3.0/3.3 | Fast | 10101 | ||
Standard | 11001 | |||||
Enabled | Enabled/Disabled | 1.8/2.5/3.0/3.3 | Fast | 10110 | ||
Standard | 11010 | |||||
FPP x16 | Disabled | Disabled | 1.8/2.5/3.0/3.3 | Fast | 00000 | |
Standard | 00100 | |||||
Disabled | Enabled | 1.8/2.5/3.0/3.3 | Fast | 00001 | ||
Standard | 00101 | |||||
Enabled | Enabled/Disabled | 1.8/2.5/3.0/3.3 | Fast | 00010 | ||
Standard | 00110 | |||||
PS | Enabled/Disabled | Enabled/Disabled | 1.8/2.5/3.0/3.3 | Fast | 10000 | |
Standard | 10001 | |||||
AS(x1、x4) | Enabled/Disabled | Enabled/Disabled | 3.0/3.3 | Fast | 10010 | |
Standard | 10011 |
MSEL Pin Settings (HPS Configuration)
Device Family | Configuration Mode | Compression | Design Security | POR Delay | MSEL[4:0] | cfgwdth | cdrratio | Partial Reconfiguration |
Arria V SoC via HPS | FPP x16 | Disabled |
AES Disabled |
Fast | 00000 | 0 | 1 | ○ |
Standard | 00100 | 0 | 1 | ○ | ||||
Disabled |
AES Enabled |
Fast | 00001 | 0 | 2 | ○ | ||
Standard | 00101 | 0 | 2 | ○ | ||||
Enabled | Optional | Fast | 00010 | 0 | 4 | ○ | ||
Standard | 00110 | 0 | 4 | ○ | ||||
FPP x32 | Disabled |
AES Disabled |
Fast | 01000 | 1 | 1 | × | |
Standard | 01100 | 1 | 1 | × | ||||
Disabled |
AES Enabled |
Fast | 01001 | 1 | 4 | × | ||
Standard | 01101 | 1 | 4 | × | ||||
Enabled | Optional | Fast | 01010 | 1 | 8 | × | ||
Standard | 01110 | 1 | 8 | × |
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